職場のコミュニケーションの壁を打破する仕掛けを作れるか

うちのオフィスでは、20代のきこえるスタッフ・きこえないスタッフが半分半分のバランスで総勢11名働いている。
声と手話が飛び交う。発音が得意な人・そうでない人、手話が得意な人・そうでない人
何も考えずに発言をすれば、半分の人には伝わっていないこともある。
経営者という立場の僕から見れば、働く現場にそれが起きる度、
情報格差や「孤独」という感情が少しづつ降り積もっていく。ちょっと怖くなる。
ちなみに僕の家族の中でもそうだった。

仕事や人間関係の亀裂になりかねないその問題は、僕の中で優先順位が高い。

そこでよく「みんながんばって努力してみんなに伝えよう!!」みたいな感動系の話をしがちなのだが
実際、その働きかけ方では心理的な負担が大きく長続きしないのと
伝えることを敬遠した結果、仕事も進まないのでお客様にしわ寄せが行ったりする。

ここに、伝えることには「動機」が必要だと、はっきりと分かる。
コミュニケーションをとろう!と励ましたりするんじゃなくて
コミュニケーションをしないといけない、したくなる状況・意味を作ること。
人は、何の意味も持たずに伝えたりしない。

僕がもともといた広告の世界は、伝える意味がハッキリしている。
しかし、何気ない一言なんかは意味を持たなくとも、
その人の心の奥では「自分の気持ちをわかってほしい」とかあったりする。

それがたった一人に伝わったらいいのか、みんなに伝わったらいいのか
一番合理的な方法にコミュニケーションは着地する。

「手話だけじゃ分からない人もいるから、今の雑談をみんなも分かるように発音も付けてください!」
「声だけじゃ分からない人もいるから、今の雑談をみんなも分かるように手話も付けてください!」

ほとんどそれは、実現しない。
日常の中では、その無意識的な「伝える」という活動に無理をさせることはほとんどできない。

逆に意味さえ感じれば、「みんながんばって努力してみんなに伝えよう!!」なんてことを言わなくても
コミュニケーションを勝手に取りあう。

だから僕は、その人がその仕事をやっている意味、連携することの意味を
仕事の中に意識して作っていかないといけない。

だから、Silent Voiceは、平たく言うと徹底的に適材適所を考える。
その人がその仕事をやることに根拠をつくる。
その人の強みが発揮されていれば、周りはその力を借りるためにコミュニケーションをとる。
コミュニケーションをとる意味が生まれる。

お互いに協調関係が生まれやすくなれば、
障害なんて両者の努力で意識される間もなく、なくなっていく。

これは障害者のいない職場でも、同じことが言えると考えています。

まだ発見だらけの毎日ですが頑張っていきます。

1 Comment

岡田知浩

素晴らしいですね。
聴覚障害者でも安心して働ける社会を大きくしたいですね。

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