日本語が話せなかった僕と手話が話せない彼と。

注意
今回のブログの登場人物は全て日本人です。

最近、もっぱらお世話になりっぱなしの株式会社人間のデストロイヤーこと
トミモトリエさんと東京のVR開発者やメディアを回ってきました。
 
 
今しがた、写真フォルダを振り返ると撮った写真は一枚のみ。(ちーん)
bouncyという動画メディアを運営するViibarに入っていくトミモトさん(しかも背中)の写真のみ。


 
「思い出残したい派」だけど残せてない、結果出せてない系「思い出残したい派」です。
 
 
トミモトさんとの東京周りでは、僕の中でまだ出会ったことのない新人類に出会いまくった…のですが
書き記しておきたい、自分の考え方が少し(かなり?)変わった出会いがありました。
 
 

↑写真:トミモトさん提供
 
 
左の彼、cadaくんという人物です。平成元年生まれの同い年でした。
分かる人はわかると思いますが、補聴器なし両耳80dBの男の子(ギリギリセーフ)です。
つまり…爆音しか彼の耳には届かない…!
 
 
そして彼は時間さえあれば、その爆音を頼りにクラブ(踊る方)へ行くそうです。
音が聞こえる…それが彼にとっての非日常。
  

そして金髪。決してグレているわけじゃなくて、彼はファンションとしてそれが許される仕事です。
自己表現的なコンセプトの会社を起業をしてフリーランスのエンジニアとして生きている。
 
 
東京で耳のきこえない人に遭遇。手話ができるのは僕だけ。
これ、僕の出番っぽいですよね?!
手話できて良かったーーって思える瞬間がすぐ目の前に…


↑wikipediaより
 
もうこんな感じで、自分の中で登場しちゃってました。
さぁ手話するぞー
 
 
cadaくんは全く手話を知りませんでした。
ちなみに聴覚障害者の中で手話ができない人がいるというのは結構よくあります。

MEMO
『身体障害者・児実態調査結果の概要 平成11年1月 厚生省大臣官房障害保健福祉部 III 調査結果の概要(生活実態等)』

>「(3)聴覚障害者で「手話ができる」と答えた者は43,000人
(14.1%)である。
 等級別に「手話ができる」割合をみると、1級が42.9%で最も
高く、障害の程度が重度になるにつれ「手話ができる」割合が
高い。」

 
耳きこえなくて手話ができないというぐらいじゃ僕も驚きません。
 
 
彼は僕の口を読んで、僕は声で話して会話するんです。
これは、よくあること。
 
 
まぁでもよくよく考えて整理してみると面白いです。
耳がきこえて手話を話して育った僕と
耳がきこえなくて日本語を話して育った彼。

 
 
常に「逆だろー」って誰かのツッコミが聞こえてくるような会話でした。
その「ヘンなところ」を改めて考えたことがなくて、トミモトさんの指摘でつい笑ってしまいました。
 
 
こういうとき、僕がつねづね気になるのは「障害観」です。
つまり、その人が「障害」をどう受け止めているか。
計測される聴力は同じでも捉え方によって人生への影響がぜんぜん違う。
 
 
cadaくんは、個性にしている。
むっちゃ感覚を無理やり言葉で言うと、cadaくんの中に「きこえないこと」が溶けて形がなくなってしまっている。
だから、「きこえないからこうなった」みたいな部分も自覚なく、cadaくんでしかない。

苦い思い出
僕は初めて講演をしたときに、遠回しに「障害は個性」とか「個性にできる」みたいなことを言っていた。すると、講演を聞いていた人から「耳が聞こえないことと、足が長いことは同じ様に個性ですか?」と言われてグゥの音も出なかったことがある。考えを改めさせられる機会だった。
 
自分の過去の苦い思い出があるにも関わらず、
彼はヒュ〜〜〜っと「きこえないこと」を個性として感じさせてきた。
そんな本人は、きこえないことをマジで気にしていない。
あくまで彼の一部で、彼は「きこえない」ことだけを切り取れない。
なんかそういうのって、強がりみたいな部分もあって見せかけだけで、
本当は孤独とか辛いとかそんなケースもあるんだけど
周囲の友人や本人もマジで気にしていない…
「言われないと気づかなかった」「そういえばそうだね」レベルなのが不思議で仕方ない。
 
 
そして、cadaくんはネットを巧みに使う。
メッセンジャーの文面で伝わってくる彼の人格が、現実世界のcadaくんの人格にカブっていく感覚がある。
恐らく、彼と深い話をしたことあるという場合は、直接の声の会話よりも
スマホやPC画面での文字ベースであるという人が多いと想像される。
 
 
ほんでもって、なんとも言えないイイヤツ。
電話を友逹に出てもらったり、助けてもらうことも多かったって言ってたけど
きっとcadaくんも色んな人を助けてきたんだろうなって思わせる。
 
 
cadaくんに「自分を障害者と思うか?」と聞いた。けっこう出会ったばっかりの者同士では勇気の要る質問。
どうか、それ以外のメッセージにならないでくれと。決めつけなんかしたくないんだと。
ただの疑問としてシンプルに受け取ってくれ…!と空気感とか全てに神経張り巡らせて聞いた。
 
 

cadaくん

「・・・(シンキングタイム)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・思ってないなぁ。」
 
 
そうだよなぁ。笑うしかなかったわ。
誰に押し付けられるものでもない。障害者手帳は「なくした」って言ってた。
生き方は人それぞれ。「障害者」って言われる人々だってそうだ。
改めて言うまでもない、人間の人間らしさ。(株式会社人間ではない)
 
 
少し凝り固まりつつあった自分の考えが破壊された。
トミ姉の「デストロイヤー」という異名に、ただただ納得しかない。誰が付けたんだw
 
 
 

そんなトミモトさんを中心に株式会社人間が「人間編集部」というサービスを立ち上げました。
企業の広報活動の一部を仕事として担うライターさんを募集中のようです。
興味ある方はぜひ関わってみてください。
 

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